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カテゴリ:購書メモ・読書メモ の記事一覧

購書メモ・読書メモ 11

1 内井惣七『ダーウィンの思想 人間と動物のあいだ』
2 フランス・ドゥ・ヴァール『利己的なサル、他人を思いやるサル』
3 ゲアリー・マーカス『脳はあり合わせの材料から生まれた』
4 ジョージ・レイコフ『認知意味論』
5 山梨正明『認知構文論』
6 W.ケーラー『ゲシタルト心理学入門』
7 クロード・E. シャノン『通信の数学的理論』
8 木田元『木田元の最終講義』
9 杉山尚子『行動分析学入門』

かれこれ一ヶ月近く更新していないので、最近買った本・読んだ本の紹介でお茶をにごしたい。これ以外にも相当買い込んでいるが、一気に書くのは面倒なので、またの機会に。

1は、しばらく前に小さな本屋さんで何の気なし手に取った。内井さんの立場がどうだったかあまりよく覚えていないが、細かなエピソードなどいきいきと描かれていて面白かった。ずっと以前になるが、内井さんの著書では他に『うそとパラドックス ゲーデル論理学への道』というのを読んだことがある。バリバリの哲学者なのに、というべきか、だからというべきか、ダーウィン入門としてはマイベストである。

2は、1の中で紹介されていて面白そうだと思って。動物と倫理をどうくっつけるか。私の関心は少しずれていてきっと答えは得られないのだが、豊富な例を楽しみたい。

3は、タイトルに共感を覚えて。まだふたつの章しか読んでいないが、この本の中心概念は「クルージ」らしい。著者によれば「クルージとは技術用語であり、エレガントには程遠く無様であるにもかかわらず、驚くほど効果的な問題解決法」のことだそうである。要するに脳は、冒険野郎マクガイバーの発明品みたいなものだということか。言語もクルージだということで、最初からうまく設計していれば、言葉の多義性の問題なんか起こらずに、もっと伝達がスムーズだったろう。それはそうかもしれないが、そうするとたぶん、人類は誕生しなかったろうと私は思う。

4は、777頁という分厚さにびびって。。とても真面目に読む気がしないが、ゲシュタルト転換の関係するところだけはマークしておきたい。

5は、かなりいい本かもしれない。山梨さんはゲシュタルト転換が好きみたいだ。教科書的で読み進めるのに体力が要るが、案外私など本を書かなくても、こっちできちんとやってくれているのかもしれない。もちろん、ちゃんと読んだら読んだで、いろいろと不満が出てくるに違いないのだが…。

6は、古典。ゲシュタルト心理学の黎明、学になるかならぬか、というすれすれなところが面白い。途中何の話かよく分からなくなったが、とりあえずひととおり読んでおきたい本。

7も、古典。ある意味でシャノンの枠組みが、情報概念を規定している。そこで捨象されたものこそを私は問題にしたい。まだうまく名指せないでいるのは、そもそもの目的が異なるとはいえ、結局、シャノンをよく理解していないからかもしれない。

8は、一気に読んだ。ハイデガーの話とマッハの話。ハイデガーについては、大いなる誤解の末に、西洋哲学史をソクラテス以前の哲学者によって相対化するというところに着地する。これはこれで面白いが、マッハの方が楽しかった。政治から文学に至るまで、いろんな人がマッハの周りにくっついてくる。あれもマッハの影響、これもマッハの影響。単なる物理学者のくせに、すごすぎるぜマッハ。

9は、たぶん苦手な本。読まずに文句を言って悪いが、工学的な人間理解という印象がある。ところで、行動分析学の始祖、スキナーはマッハに影響を受けたのだそうだ。これを8と同じ日に買ったという偶然に驚きたい。

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購書メモ・読書メモ 10

野家啓一編『ヒトと人のあいだ』を購入。興味の薄いところをとばしながら、半分くらい読んだ。

野家啓一による「まえがき」。人間観が文理分裂しているという現状把握に共鳴した。結論として提示されているホモ・ナランスはともかく、問題意識としては、ほとんど私の野望に重なっていると思う。

戸田山和久「『知識を自然の中に置く』とはいかなることか」が収録されている。というより、これがあったのでこの本を買ったのだと言ってよい。比較的退屈なテーマを追っているのだが、いつもながら論旨は明快で気持ちがいい。そして、この記述「被験者が内省だけによって『右の方を選んだけど、それは右の方がおいしそうだからではなくて、単に右にあったからだ』という正解に至れるか、私はほとんど無理だと思う」には、ちょっと震えが来た。ここだけをピックアップしても、何のこっちゃかもしれないのだが、これは美しい話なのだ。


購書メモ・読書メモ 9

1 池谷裕二『単純な脳、複雑な「私」』
2 茂木健一郎/田谷文彦『脳とコンピュータはどう違うか』
3 星野力『チューリングを受け継ぐ』
4 郡司ペギオ-幸夫『生きていることの科学』
5 黒川伊保子『恋するコンピュータ』
6 野村雅昭『落語の言語学』
7 織田正吉『ジョークとトリック』

いろいろ買ったり読んだりした。引っ越して通販を使わなくなったので、逆に整理が面倒臭い。ここに挙げたのは、さいきん買った本の一部である。

1は、とりあえず売れているので。ひと通り読んだ。脳が「私」を誤解しているのか「私」が脳を誤解しているのか。最新トピックも豊富でなかなか面白かった。ダーウィン的な生物観に着地するところにだけ、私としては違和感がある。コホーネンの自己組織化マップの紹介は有難かった。

2は、大嫌いな茂木本。だが、このタイトルで私が買わない訳にはいかない。読んでみたら、したたかだった。とくに計算機について、なかなか要領よくまとめてあって感心した。余計なお世話だが、紹介に徹すればよかったのにと思う。まとめがよくもわるくも茂木節で、もったいない。この本ではないが、茂木氏がいまの心の科学の状況を錬金術になぞらえて、錬心術と呼んでいたのは上手かった。なんだかんだ言いながら、所詮、同族憎悪のようなもの。私もまた同じ穴の狢なのであろう。

3の星野さんは、Web上で名前を見かけたことがあった。ちょうど非チューリングマシン(以下、非TM)について考えていたので、その参考に購入。小説風の付録を除いて読み終わった。有名な話だが、チューリングはTMの限界を示していた。そしてドイツ軍のエニグマ暗号を解くために、チューリングボンベと呼ばれる非TMを活用した。天才だなあと思う。計算機科学の、あるいは人工知能の歴史入門としてよくできている。チューリングテストに対する記述も秀逸で、私の理解も少し変わってしまった。が、後半、非TMが単なる神秘発生装置のようになってしまった気がする。「人間-TM=?」の核心がよく分からない。仮説だけでも提示して欲しかった。

4の郡司さんは、いちど見たら忘れられない。ときどき名前を見かけてはいたが、本を読むのはこれが初めて。ちょっと癖のある対話篇で、このノリは身に覚えがある。学生時代の友人同士の怪しい議論がパワーアップしたような本だ。まだはじめの方だが、マテリアルというのがキーワードであろう。「現実-モデル=マテリアル」とでも言えばよいのだろうか。割り切れないところを取り出して、割り切ろうという趣。それはそれで面白いけど、はてさて。ほんとうのところ(現実)は、どうなのだろう。複雑系ショックの延長上にある本と見ていいのかもしれない。

5は、野心に惹かれて。ともすれば智に働きがちな人工知能の話の中で、情に棹さすのは立派である。しかし、大山鳴動して鼠一匹という気がしないでもない。言葉の語感に対する分析が主な話題で、よく見てみたら、あの有名な『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』の著者であった。これこそ私が否定せんとする、旧レトリックの権化ではあるまいか。と、攻撃するのは野暮天であろう。聴覚刺激から発音体感への転換は、著者にとってコロンブスの卵だった。それでよいではないか。1の池谷本に登場する「ブーバ・キキ試験」の謎も、つまりはこのくらいの話なのだと思う。

6は、タイトル買い。あまり期待していないが、枝雀の四分類への言及があるところに感心した。暇なときに読もう。

7は、ぜんぜん期待していなかったのだが、読んでみてたまげた。著者は転換コレクターである(ほめ言葉のつもり)。もちろん、その分析については処世訓めいていて不満もあるのだが、これは博物学的な資料として素晴らしい。やっぱり私はこういう世界が好きなのだよなあと再認識した。


購書メモ・読書メモ 8

1 イアン・スチュアート『自然界の秘められたデザイン』
2 エリオット・ソーバー『進化論の射程-生物学の哲学入門』
3 サム・ウィリアムズ『人工知能のパラドックス』
4 グレゴリー・ベイトソン『精神と自然-生きた世界の認識論』
5 ジョン・R・テイラー『認知言語学のための14章』
6 ドナルド・デイヴィドソン『主観的、間主観的、客観的』
7 福岡伸一『世界は分けてもわからない』

を日本橋の丸善で購入した。前回からのブランクにいくつか別の本も読んだが、それはまた別の機会に書こう。

1はI・スチュアートのファンなので。このブログとの関連性は薄いが、期待度は高い。

2は有名みたいなので。意外とこの、生物学の哲学という分野は成熟している。進化論論争が加熱したためか。生物学の哲学全体に「機能」の概念がポイントだと思うが、これはおそらく、完全には自然化できない(できたと思っている人もいるだろうが、私は眉唾で臨む)。機能による課題遂行というとき、その課題(命題)の記述が問題になるに違いないからである。

3は、そういえば人工知能の歴史をよく知らないなと思ったので。冒頭に年表がある。いろいろ重宝しそうだ。

4は、タイトルに惹かれて。ベイトソンという名前はうっすら聞いたことがあったが、Wikipediaによれば1904年生まれらしい。古いのは悪いことではないが、あまり期待するまい。暇なときに読もう。

5は、認知言語学が云々と主張するのなら、とりあえず読んどかねばと思って。帰りの電車でパラパラ眺めた。単義性/多義性の話があったり、両義性/曖昧性の区別があったりした。しかし、我流の用語法と少しかみ合わない。このあたりの用語の問題もあるのだ。どこまで我侭を通すべきか。

6は、宿敵デイヴィドソンの本なので。と、勝手に宿敵扱いしてしまったが、偉い人なのは間違いない。それは飯田隆『言語哲学大全』の構成を考えてもわかる(ちなみに『言語哲学大全』は読んでいない。読むと大変そうなので)。換骨奪胎、まじめに読みたい本。

7は『生物と無生物のあいだ』が面白かったので。ただ、著者が最も主張したいであろうところの「動的平衡」の概念には、あまり魅力を感じていない。タイトル、反分析的という意味では、コネクショニズムに通じるところもあるやもしれぬ。これは牽強付会か。

東京転勤の準備で

今月更新をしていなかった。広告を消すために何か書こう。

いま読んでいるのは、長尾龍一『法哲学入門』。
いかめしい題名だが、ここ最近読んだ本の中では、いちばん楽しい。
もう、抱腹絶倒と言っていい。
そこかしこふんだんに盛られた冗談がことごとく私のツボにはまって、
たまらなく可笑しい。もったいないのでゆっくり読んでいるところ。

月曜日に東京へ赴任します。